【2社目】開き直るくらいでちょうどいい【パチンコ店員転職物語】

転職物語

初めての面接は大失敗に終わりました。

その傷も癒えないまま2社目の面接です。

今度こそ良い結果を出せるでしょうか…。

今回は自動車部品メーカーです。

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面接前

パタパタと雨粒がガラスを叩く音がして目が覚めた。駅前のコインパーキングに停めた車で眠っていたのだった。面接の時間まではまだ少し時間があるが、頭を起こしておこう。

窓を開けると蒸し暑い空気が流れ込んできた。面接で話すべきことを、もう一度おさらいしておこう。開けたばかりの窓を閉めて、鞄の中からノートを取り出す。

「御社を志望しましたのは…」

小一時間前に書き出した文字の羅列を、もう一度目で追ってみる。

喫茶店にて

面接は17時からだが、かなり早めに家を出た。車で1時間ほどの場所に目的の会社があるそうだ。前回の面接は都心で行われたが、今回は郊外の片田舎。都心に行くよりも、気が楽だった。生まれが山奥なので、都会に向かうのはどうも落ち着かない。

いや今思えば、前回大きな失敗をしたから、その記憶が呼び起こされるようで、怖がっていたのかもしれない。あまりにもメンタルが弱くていやになる。

面接場所は片田舎にあっても駅前でその周辺では比較的賑わった場所にあった。前回は会社が見つからず妙に焦ってしまったので、すぐに見つかって安心した。まだ14時過ぎで面接までは、かなり時間がある。

それまでは、喫茶店に入って面接準備をしておこう。

会社情報を調べる

面接対策といってもなにをしたら良いのか、正直分からない。まずは会社情報を調べることにしよう。転職サイトにリンクされていたURLから、今回受ける会社のHPを引っ張り出してきた。

  • 元財閥系企業の子会社である
  • 独自技術を持っている
  • 電気自動車に対して意欲的
  • 環境問題に対しても意欲的

このようなことが分かった。

ここに来て、問題点に気づく。

僕自身あまり、自動車に対する興味がない。

部品と言われてもそれが一体どこでどのような役割を果たすのか、理解できなかった。突き詰めれば、部品がどう使われるかなんて、理解してなくてもいいとも言えるのだ。製造に関しては当然、素人なのだし。

仕事なんてそもそも、そんなもので結局のところその一端を担うことしかできないのだと自分のなかで結論付けた。とりあえず情報は隅々まで見尽くした。知識としては十分だ。

興味がない部分はどうしようもない。結局は自分自身が持っているもので戦うしかない。そんなことをしながら、頭のなかで面接のシミュレーションをしていた。

文字起こししたことで、具体的に言葉に出来た点はよかった。

面接へ

そろそろ時間になるので面接に向かうことにする。車のミラーを使って身だしなみを確認する。顔は少し疲れているのか、まだ、起ききっていないのか、やや緩んだようにも見えた。

身体を起こし気を引き締める。緊張しすぎて、前回は失敗に終わったのだ。あまり気を張りすぎてもよくないだろうと思うことにした。

会社から近すぎて、そこの社員さんに寝ているところを見られるのも決まりが悪い。少し離れたところに車を停めていたので、歩いて向かうことにしよう。

ビルに入り、エレベータに乗って目的の会社がある5階を押した。きれいな建物だったので、新しいのだろうと感じた。築10年と経っていないだろう。ドアが開くと目の前のその会社があった。呼び鈴を押す。

「本日、採用面接で参りました…」

すぐ横の応接室で待つように指示されたので、椅子に腰掛けて面接官を待つ。応接室というよりは、会議室なのだろうホワイトボードやモニターが置いてある。しばらくして、面接官が来られたので、立ち上がって挨拶をする。

面接官は50絡みの男性だった。髪は白髪交じりで中年らしく、お腹まわりも膨らんでいる。肌は日焼けしているのか浅黒かった。しかし、全体的に清潔感はあって、やはり見た目には気を使っているのだろうことが伺い知れた。第一印象は親しみやすそうな人。前回かなりギラギラした感じの面接官だったのが、やはりトラウマなのだろう。少し安心した自分がいる。

面接はまた別室で行われることを告げられた。案内してくれたので、面接官のあとを追う。にこやかな雰囲気で

「今日は車で来られたんですか?」
「外は雨が降っていますか?」
「雨のおかげで、今日は少し暑さが和らぎましたね」

など世間話をしてくれた。

面接官である以上、始めから終わりまでを見ているはず。すでに面接は始まっているのだろうと考え、世間話にはやや大きめなリアクションをした。自分からも話題を持ち出し、雰囲気作りに力を入れた。会話の主導権を握るくらいやってやれと思って話した。

ただ思った以上に別室は遠かった。それもそのはずで別室どころか、隣のビルまで移動した。いや、たしかに別室といえば別室だけどさ…。

しかし時間にして5分くらいは世間話ができたので、雰囲気作りは十分できた。なによりそのころには肩の力が抜けた感じがした。いずれにせよ、ありがたい。

面接室も明るくきれいな会議室だった。しばらくしてもうひとりの面接官が来られ、面接が始められた。

面接

聞かれたことは次のようなものだった。

  • 志望動機
  • 転職理由
  • がんばってきたこと
  • 成功事例

前回も聞かれたようなことばかりで、このあたりは定番の質問なのだと感じた。転職サイトにも書いてあることばかり。

以前と違ったところというと、会話に重きを置いている部分だろう。雑談の延長のような形で質問を入れ込んでいるようだった。質問一つひとつを区切らずに、流れるように質問を挟まれていると感じた。

僕の方も会話を切らさず、流れのなかで適切な回答をするように意識した。営業力を見ているのかもしれないし、なるべく緊張させずに僕自身の本質を見ようとしてくれているのかもしれない。

どちらにせよありがたかった。前回よりはすらすらと喋れていると感じたからだ。言いたいこともよどみなく言えている。まだ、返答に困ってしまう場面もあったが。

「成功したこと失敗したことってなにかありますか?」

この質問は困った。自分のなかで、固まりきった返答がないからだ。しどろもどろになりそうだったが、開き直って自分が本当に頑張ったと思えること話した。本当に小さなこと。

他の人から見たらとても小さなことだったと思う。

「がっかりされるんだろうな。」
「どうせ期待外れと思われるはず。」

話し出す直前にそんなことを思った。いつだってこれを言ってしまえば、きっと嫌われるに違いない。そんな考えが頭に浮かんでしまう。

話してみて、実際はどう思われたかわからない。でも、うんうんと話を聞いてくれていた。こんなんえよかったのかなと思った。

そこからはあまり考えず、正直に自分の思うことを話してしまえと思った。

面接を終えて

1時間ほどの面接を終えた。普段あまり話す方ではないので、喉がつかれた感覚がある。すぐに水を流し込みたい。

「本日はありがとうございました…。」

お礼と別れの挨拶を出口で済ませる。合否の連絡は検討して改めて連絡す旨を伝えられた。

言いたいこと話せた、やりきった感があった。

これでよかったのかもしれない。ありがとうございますもいつもより大きな声で言えていたような気がする。

そんな小学生みたいこと。そんなことが大事なのかも知れないと思いながら帰路についた。

結果

後日、エージェントさんから合否の連絡が来た。今回の一次選考が通れば、二次選考へと進むことになる。

「残念ながら、お見送りとなってしまいました。」

いや落ちるんかい。

合格する流れのやつやん。途中で覚醒したら、勝ち確定のパターンのはずでは。

現実はそう甘くなかった。

でも、こうやればいいのかと理解してきた気がする。

一回ずつ落ち込んでいたら次へ進めない。

3社目はもう明日なんだから。

3社目へ続く…

緊張しなかった理由

正直なところ落ちてもいいやと思っていたところが大きかった。

その姿勢が自分を落ち着かせて、あからさまなほどに誇大して喋っていたと感じる。

しかし、あとにして思う。そのくらいでいいのだと。

緊張したり気負ってしまうと、自分を小さく見積もってしまう。でもそれじゃやっぱりだめなんだ。自分を小さく見積もっている人を採用しようとは思わない。

採用するということは「自分」という商品を、企業側にお金を出して買ってもらうということだ。

自分を大きく見せるでもなく自分というものを見つめることが必要。

でもまずは大きすぎるくらいに自分をみせていってもいいのかもしれない。

適性検査

ちなみに面接の後、オンラインで適正検査を受けた。

言語・論理・数理・英語の4科目があった。

言語・論理はそれなりに出来た自信がある。

数理・英語はからっきしだ。きっと惨憺たる結果だったろう。

おわりに

面接2社目もお見送りという結果になりました。

以前より受け答えの仕方も分かってきました。

とにかく自信を持っていった方が手応えもあると感じました。

この経験は後に生かされていくことになります。

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