8社目。
前回、こてんぱんに打ちのめされたものの、逆に決心に近いものを手にした気がする。
また今回は違う業種に応募している。
中古品買い取り販売店。正直全く縁遠い業界だ。あまり物を売ったり買ったりするほうではないし。しかし「販売」の業種は、今の職種からすると近いものとも言える。
何度目かわからない「今度こそは」と思って、面接へ向かうことに。
前回はこちらから
シルバーウィークって何だよ
アパートの一室で何度目か分からないWEB面接の準備をしている。すっかり慣れたものだ。
9月も下旬に差し掛かってきた。世間ではシルバーウィークという期間にあたるらしい。近年急に出てきた言葉だったが、すっかり定着した感がある。2022年のシルバーウィークは日並びのせいで、大型連休とはいかなかったようだ。
サービス業従事者はほっと胸を撫で下ろしたところだろう。無駄に忙しくなるのは勘弁してほしいところだからだ。自分があくせく働いているというのに、世の中の人は浮かれ気分で遊んでいるのは、どうにも気に食わないと思ってしまう。
もちろん理解はしている。自分が休んでいるときに、世の人は働いていること。同じようにサービス業に勤めている人は、同じように働いていること。そういった連休で人が集まったほうが、会社としては儲かること。
でもこれは理屈じゃない、気持ちの問題なのだ。どうしたってもやもやした思いは残ってしまう。「ゴールデンウィークやお盆に働くことはすっかり慣れたな。え、さらにシルバーウィークだと?ふざけるな!」と心の中で言う自分がいるのだ。器が小さいことこの上ない。
転職したら、年末年始くらいは休めるようになるだろうか。そうなってほしい。
中古品売買業とパチンコ屋
もう何回目かのWEB面接で、いい加減操作にも慣れてきた。使っているデバイスが安物で、もたついたがなんとか接続することが出来た。もうちょっとちゃんとしたPCを使いたいが、高価なものを買う余裕はない。
今回受ける企業は中古品買取販売の会社だ。面接官は若めの女性の方だった。接続に変にもたついたことで、心象を悪くしなかっただろうかと不安になったが、そんな雰囲気は感じられなかった。よくあることなのだろう、ほっと一息つく。面接官は丁寧な口調の方だなと思った。
中古品買取販売業は昨今活況であるらしい。これは前日に転職エージェントの方が打ち合わせの際に教えてくれたことだった。斜陽産業と言われて久しいパチンコ業界とは、真逆である。たしかに近年フリマアプリなどの台頭もあって、中古品に対する価値観は変わってきたなと、自分でも納得した。
始めに会社説明をしてくれた。従業員は女性が多いらしいこと、顧客の大半は高齢層であること、社内組織についてなど。女性が多いというのは以外な気がしたが、販売の業態は女性も多い。アパレルなどは顕著である。女性が働きやすい企業というのは、とても良いと感じる。
男女の均等が叫ばれて久しいが、まだまだ男性社会のシステムに女性を当てはめているだけの会社は多い。そうなれば女性を排除されるのは当然だ。それなのに「やっぱり女はだめだ」とか「女性がやめない環境に」とか言ってる。女性がやめていくのはお前がいるからだろ。そんなことは言えないが。
そして顧客の大半は高齢層で、単純に物を売り買いするだけでなく、顧客の話し相手になることも重要だと説明された。そこはなんだかパチンコ屋と近い気がした。一人暮らしのお年寄りが「家にいても寂しいから」とパチンコ店に来る光景は、どこの店に行っても見られる。そこは経験が活かせそうだと感じた。
顧客層はパチンコ店と近いこと、そのスキルが活かせることをアピールしていけば、良い結果が残せるかもしれない。話を聞く限り会社としても悪くないと感じた。なにより自分がそこで働くイメージが浮かんだ。これは初めての経験だった。なんとか面接を通過したい。
ぐっ、と腹の底に力が入るのを感じる。
パチンコ屋を知らない世代
なんとか面接を通過したいと感じ、僕が答える番になったので、熱を持って話し始めた。
しかし、どうにも噛み合わない気がする。パチンコ業界について話をしたのだが、そもそも面接官がパチンコ屋について全く知らないのだ。一度も入ったことがなければ、正直興味もないといった風だった。若者のパチンコ離れは想像以上だった。
全くもってパチンコ屋について知らないと、どういう仕事をしているのかをまず伝えなければならない。あまりに特殊な仕事というほどではないが、今働いている姿を想像して貰えない。面接官からすると、それでは採用後に働いているイメージがつきづらいだろう。
僕がギリシャの石工職人の働き方を知らないように、面接官はパチンコ店員の働き方を知らない。どういう一日を過ごしているのか想像がつかないのだ。ギリシャで石工職人をしていた人が、パチンコ屋で働くようになったとしても、そのスキルがどう活きるのか見当もつかない。
そこまでかけ離れていないかもしれないが、つまりはそういうことだろう。面接の時間もずいぶんと説明に取られてしまった。このプレゼン力にも、能力を測る意味はあるのかもしれないが。
なにを言っても伝わっていない感じがする。
「ホールを回って台整理しています」
「イベントの準備しています」
「エラーの対応しています」
とか言っても「?」が頭上に浮かんでいる。業界が斜陽であることも知られていない。僕のコミュニケーションがよくないのだろうか。いや誰が相手でも、概ねこうなるであろう。
アピールできそうだと思ったことも、話のなかで見つけ出した共通点もおもったように伝えることが出来なかった。
話が伝わるということは、相手に予備知識があるからなのだ。話が伝わることはもっと感謝するべきかもしれない。
業界によってキャリアビジョンは変えるべき
先に言ってしまうと、結局この会社も落とされることになる。原因は色々あるのだろうが、自分なり一番失敗したと感じるポイントはキャリアプランへの返答だ。
業界が違えば求められる人物像が違うのだ。そのことにこの時点では気づいていなかった。だから僕はこのとき「不動産業界で求められる人物像」に沿って返答していた。
具体的には
「稼ぎたい、収入を上げたいと思っている」
「強く人を惹き付けるものがある」
「自分主導で物事進める」
といったことだろうか。その返答をしたときの面接官の反応が特に良くなかった。
たぶん求められていたのは
「相手に寄り添う気持ち」
「顧客優先の気持ち」
「収入よりやりがい」
といったことだったのだろう。
改めて文字にしてみても、後者のほうが自分自身にあっているような気はする。この返答は自分で用意したものではなかった。エージェントさんと綿密に打ち合わせて用意した回答だった。
今思えば、用意した回答を言っているときは熱が乗ってなかったようにも思う。自分が本気で思い描く理想を実現できるような業界や会社を志望するべきなのだろう。
だからといって自分の理想を全て捨て嘘八百を並べる必要もない。というかそれはやってはいけないだろう。
今回の教訓
キャリアプランは業界によって微調整するべき
思い描くビジョンは人それぞれある。それは自由だし素晴らしいことだ。だから大事なのは「何を思い描くか」ではなく「どう伝えるか」なのだと気づいた。
例えば「収入を上げたい」と思っているとして、それをそのまま伝えるほうがいい場合とそうでない場合がある。
「収入をあげたい」=やる気がある、意欲的、ギラついていていいねと思われる場合もあれば、「品のないやつ」自分本意で思いやりがなさそうと思われる場合もあるだろう。
「収入を上げる」には概ね「仕事で結果を残す」とワンセットだ。直接的な表現を嫌うなら「顧客によりそった仕事をして、結果を残します。そうして自分の生活の質を高めさらに次へ次へと繋げたい」といった言い方もできる。
伝え方ひとつ、言葉一つなのだ。それだけ印象は大きく変わる。
結局今回も落とされるいい加減一つくらい受からないものか。
次はまた不動産系の会社である。正直次の会社がだめなら不動産系は諦めよう。どうにも自分には向いていないし。
9社目に続く…
コメント