前回【8社目】のあらすじ
パチンコ店員としてのスキルを活かせそうと考えて受けた「中古品販売店」だったが、結果は不合格!
自分なりに手を尽くし、完璧だと思って用意した受け答えも全て裏目に。
面接官に引かれてしまうくらいの失敗面接は下記リンクからどうぞ。
さて今回は再び不動産業の会社である。
不動産はちょっと毛色が違うような気がしてきているので、正直あまり乗り気ではない。
どうなってしまうのでしょうか。
前回まではこちら
またまた不動産
またいつものようにWEB面接の準備をしている。今回は受けるのは懲りもせず、また不動産業の会社である。以前にも不動産業は何社か面接を受けた(1社目、7社目参照)しかし、結果はどれも不合格だった。
ちょっとトラウマである。できれば受けたくはないし、もし受かったとしても僕には向かない仕事なのではないかと考え始めている。万が一、内定をもらえたとしても断ってしまおうかとすら思う。
しかし、何十社と受けていまだに1社も受かっていない今、どうせ落ちるのだ。だからそんなこと考えるだけムダだろう。いやいや、そんなネガティブな考えでは、なにもうまくいかない。そうやって自己否定やら肯定やらを繰り返してよく分からなくなってきた。
先のことを考えるのはムダだ。結果はわからないのだから。そう考えて思考を断ち切る。
面接は夕方5時から。そんな堂々めぐりを朝から繰り返してきたおかげで、もうわりとどうでも良くなってきた。面接も9社目ともなると慣れが出てきた気もする。
「落ちてもいいや」「だめで元々」と考えると肩の力も抜けて楽になる。
面接
いつものように面接が始まる。事前送られていたURLを入れる。
面接官の雰囲気は、これまで受けたきた不動産業の人たちとは少し違っていた。これまではいかにも自身がありそうな、いうならばギラついた人が多かった。
今回の会社はそんなことはなかった。一言でいうなら柔らかい印象だった。強くギラついた感じではない。
面接の内容はこれまで書いてきたことと大差ない内容だった。
僕の職務経歴などを話すうちに、以前勤めていた会社についてのことを思い出した。
昔とった杵柄
今から10年くらい前のこと、同じように転職活動をしていた。当時は24歳。
正社員の経験はない。いわゆるFラン大学卒。申し分のない落ちこぼれだと僕自身思っていた。そんななかでの転職活動だったが、やはり年齢という指標は強い。就職活動ではことごとく落とされたのに、中途採用市場では面白いくらいに内定が取れた。
とはいえ内定のもらえた企業は、どれも労働時間が不明瞭だったり、ノルマが厳しそうだったりと、一言でいえば、ブラック感の強いところばかりだった。それらの企業も実際に働いたわけではないので、実のところは分からないけれど。
そのためにインターンとかいう制度があったりするんだなと、これを書いているいま気づいた。
そうして僕はある不動産屋に就職する。きっかけや決め手はなんだったろうか。たぶん、比較的ゆるそうで、面接官が仕事ができそうだなと思ったからだ。
結果から言うと入社後1年で去ることになる。ちなみにその後にパチンコ店員として働き出すといった流れだ。
その会社に勤めていた経験は後々生かされることになるし、メリットもあった。でも当時を思い返せば、辛いことの方が多かったように思う。総合的に見れば、その企業を選んだのは失敗だったかなと思っている。
とはいえ後悔のような思いは、どういう道を選んでいても拭いきれるものではない。「あのときこうしていれば」「あの日に戻れれば」なんて考えからはどうしたって逃れられないのだ。
そんなアンビバレントな感情を持ちながら、どのような点が失敗だっただろうかと思い返す。
僕が思う失敗したと思うポイントを考えてみた。
こんな企業は選ぶな
企業選びで失敗したポイントは単純だが以下の通りだ。
- 印象メインで選んでしまっていた
- 業界についてあまり調べなかった
学生時代あまり熱心に就職活動はしなかった。なんとなくいくつかの企業を受けて、結果的にどこにも通らなかった。リーマンショックや東日本大震災の影響を色濃く残す年代で、就職難と呼ばれていた背景はある。
しかし、結局は僕自身が自分の意志で努力を怠ったのだ、その結果は甘んじて受け止めるべきだろう。
学生時代に就職活動を行っていなかったことの弊害として、そもそも就職(転職)活動をどのように行えばいいのかよくわかっていないことも挙げられる。
バイト探しの延長のように、場所や給料や労働時間だけで判断してはいけないなんてことをぼくは知らなかった。
もし転職活動を始めようという方には、バイト探しとは一線を画すことを理解してほしい。その探し方では失敗します。
転職活動の進め方は様々な転職サイトに掲載されているので、ぜひ参考にしてほしい。「勉強?そんな面倒なことやってられっか!」と思うかもしれないが、ブラック企業に就職して心身を擦りへらすくらいなら、転職についてほんの少し勉強した方がいい。それだけで全く違う未来が待っている。未来を決めるのはいつだって自分の行動次第だ。
さて、そのように僕は業界研究、会社研究といったことを全くしなかった。
その結果入社後のギャップに悩まされる。
入社後ギャップ
ブラック企業感は薄かったように思う。裏を返せば放任主義的な性質があったのかもしれないが。
営業と聞いて最も忌避するのがノルマだった。責任ある仕事や周りから急かされたり、プレッシャーを与えられることがとにかく苦手だった。
プレッシャーを感じると、とにかく実力を発揮できないタイプだ。
だからプレッシャーの薄そうな会社が良かった。できればノルマがない仕事が良かった。しかし、そういった仕事は年収があまり高くない。
根拠はないけれど、プライドみたいなものだけはあった。自分は優れているという思い込みだ。周りとは違うと、自分は優秀なんだと本気で思っていた。
だから年収が低い会社は選びたくなかった。
それなりの年収があって、プレッシャーもなくて、それでいて成長を感じられそうなところというのが僕の希望条件だ。
そんな僕の甘い考えが叶えられるわけもないのだが、そんな思いを抱いて選んだのが不動産仲介の営業だった。
年収やノルマの有無は面接で聞き出すことができる。仕事をするなら成長できるところという思いがあった。成長如何は実際にやってみないと分からないものだが、僕は面接官を見てそれを判断した。要は面接官が仕事ができそうかどうか。
なのである程度条件が揃っているところで一番仕事ができそうだと感じた人が面接官だった企業に就職した。
その判断は正しかったのかは分からない。でも、その選択で苦しむことにはなった。
入社後
はじめに違和感を覚えたのは入社直後、会社での忘年会でのこと。入社が12月だったので入社後すぐではあったが忘年会に参加した。全社をあげての忘年会らしく大きなホテルの宴会場を貸し切って行われていた。芸能人なども呼ばれていて、大きな会社に入れたんだなと思った。
違和感を感じたのは余興でのこと。社員がいくつかのグループに分かれて出し物を披露していくようだった。面白おかしく盛り上げてくれているのかと思ったが、社長がそれぞれの出し物に対して「3万」とか「5万」とか金額をつけていった。
聞けばそれがボーナスのようなものだという。どういうつもりなんだろうと思った。それを楽しんでいる方も、そこで金額をつけられて寸志を得て喜んでいるほうもおかしいんじゃないか。狂気的に感じた。
飼いならされて、自分の評価を仕事内容とか成果とかじゃなくて、出し物で受けていることは狂気的だ。ただ面白おかしく盛り上がれればその方がいいんじゃないだろうかと僕は思う。それが最初の違和感。
その後
とはいえその後、仕事自体は問題なく進んでいた。真っ当に仕事をできていたと思う。
人の入れ替わりは激しかった。毎月誰かがやめたという話を聞いたし、毎月新しい人が入ってくる。
結局のところ、給料もそれほど良くはなかった。一年目はボーナスがないと聞いていたので年収ベースで見たら低いのは仕方ないのだが。
僕自身の成績は悪くはなかった。目標値を下回ることはなかったし。それでも一年続けてえたボーナスは1万円だった。
1年後同じように忘年会が開かれると、やはり同じように余興が行われた。そこではまた社長がそこに金額を付けていく。僕は余興で3万円を手にした。僕が働いてきた1年よりも、数分間の余興の方が価値があったんだろうか。そう思うと虚無感に襲われた。
正当な評価を行われていないと感じた。おそらくそれをきっかけとして、僕はやめることをえらんだのだろう。
「あなただから」と言われたい」
メリットもあったと先に書いたが、それはどのようなところにあったかを最後に伝えたい。
自分に自信が持てるようになったことだ。「あなただから」と言ってもらえる仕事ができていた。その点は自分にとって大きな成功だったし、人生の転換点だったと感じる。
仕事自体は嫌いではなかった、人間関係も構築できていたと思う。上司になればなるほど苦手な人たちだなと感じてはいたが。
仕事内容にも責任感を持っていた。住むところを選ぶというのは人生においてはとても大事だ。住む期間の長短はあれど、人生の一大事だと思う。
大阪の繁華街で働いていたので、大きな企業の偉い人から水商売の人など普段は関わることのないような人たちと接することができた。そうして、ああでもないこうでもないと話を進めていくのは、とても勉強になったと感じている。
ある企業の偉い方にお部屋を紹介したときに「あなただからここに決めた」ということを言われたときがあった。
僕の人生において、その時初めて人間として生きていることを肯定された気すらした。
誰かを喜ばせたり、そうやって人間は生きていくものだという実感を得たのはそれが初めてだったと思う。
その経験があったからこそ、やっぱりもう一度という思いで、改めて不動産業界で働いてみようと思ったのだろうか。
面接について
毛色がちがうような気もしたが、面接内容は大差なかった。
受け答えも何を話したか、印象には残らなかった。
肩肘張らずにできていたように思う、緊張感も強くなかった。
どうせ落ちるし、落ちてもこの業界は多分選ばないだろうなと思っていた。
結果
数日後結果が知らされる。
それを知るのは10社目の面接のあとになる。
結果、この企業で初めて面接が通った。
10社目に続く
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